70年代アメリカでの人々の“多様性”をめぐる熱い草の根の記録映画です。
日時


  2021年8月30日(月) 10:30/14:30/18:30

※18:30の回は、上映中止となる場合がございます。
来場前に電話またはホームページ等でご確認ください。

会場

埼玉会館 小ホール

作品情報

【監 督】 ロバート・エプスタイン

【出 演】 ハーヴェイ・ミルク

       (1984年/アメリカ/87分)

主催

特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク

提携

埼玉会館

必ずお読みください

◆マスクを着用されていない方はご入場いただけません。会場内では常時マスクの着用をお願いいたします。

◆受付時に検温を実施します。37.5度以上の熱があった場合は、入場をお断りさせていただきます。予めご了承ください。

◆新型コロナ感染症拡大防止の対策のため、入場にあたってお名前と連絡先の記入をお願いしています。

◆上映会は当面のあいだ入場制限を継続する予定です。

※新型コロナウイルス感染症拡大防止対策についての詳細はこちらもあわせてご確認ください。ご来場の前にご一読をお願いいたします。

料金
(税込)

【全席自由】

一般1,100円/小中高生550円*(何れも税込)

※前売券なし・当日現金支払いのみ・各回入替制・整理券制

※アフタートークは中止となりました
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1984年第57回アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作品
カミングアウトした同性愛者として
初の公職(フランシスコ市市政執行委員)に就いた
ハーヴェイ・ミルクの活動とその暗殺事件の裁判を記録した
ドキュメンタリー映画史上に残る傑作
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 サンフランシスコ市の市政執行委員(日本の市議会議員にあたる役職)であったハーヴェイ・ミルク氏は、ジョージ・マスコーニ市長とともに、1978年11月27日、同じ市政執行委員であった男によって市庁舎内で射殺されました。本作はその殺害事件を中心に彼の活動の軌跡を追っていく記録映画です。1987年に初公開されました。
ハーヴェイ・ミルク氏の生きていた’60年代から’70年代にかけてのアメリカ合衆国は、貧困や人種差別ほか各種の社会的矛盾が表面化し、国内における対立と分裂が激化した時代でした。そうした状況の中で、公民権運動が盛んとなりベトナム戦争の長期化に伴う反戦運動を経てフェミニズムや環境保護運動など、社会変革の波が国内を渦巻き、より自由な社会を求める機運が高まっていきました。ビートルズ、ボブ・ディラン、長髪、ミニスカートとともに性の革命も唱えられ、1960年代半ばにサンフランシスコで始まった「フリー・ラブ」を唱えるヒッピー文化などのカウンターカルチャーが70年代にかけて大きなムーヴメントとなって出現します。政治経済では、63年にケネディー大統領暗殺、69年にニクソン政権が誕生。73年には第1次オイルショック、79年には第2次オイルショックが襲来します。大学が男女共学を許可することが社会的に受け入れられたのも70年代です。

ハーヴェイ・ミルク氏は、ゲイを公言した人で初めて合衆国の大都市の公職に就いた人物として記憶されています。その当時のアメリカは現在と大きく異なりゲイに対してけっして寛容ではなく、彼は暗殺されることを予見しながらもゲイゆえに自らが感じた社会的不平等に立ち向かったのです。2度の落選を経て、1977年に市政執行委員に当選します。同性愛者の公民権獲得や地位向上のために尽力してきた彼でしたが、執行委員となってからは、同性愛者支援に留まらず、マイノリティである黒人やアジア人で人種差別に苦しむ人々、社会的弱者である高齢者や児童などの救済のために活動を繰り広げていくことになりました。しかし在職わずか11か月で暗殺されたのです。

このハーヴェイ・ミルク暗殺事件は、ゲイである彼が殺害されたことはもちろん、その偏見にとらわれた裁判の成り行きと顛末によっても注目されることになりました。

本作の監督であるロバート(ロブ)・エプスタインは、55年生まれ。70代後半にサンフランシスコを拠点にドキュメンタリー映画を作り始め、84年に本作でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したほか、他の作品でも同賞を受賞しています。

ミルク氏の生きざまは、その後、劇映画「ミルク」(2008年/ガス・ヴァン・サント監督)としても製作され、09年アカデミー賞最優秀主演男優賞(ショーン・ペン)と脚色賞にも輝きました。そちらの作品でミルク氏の存在を知った方もいらっしゃるかも知れません。今回の作品はドキュメンタリー映画として、生の映像を通して彼の生き様と彼の生きた時代に光を当てた作品となっています。これは単なるゲイ社会の問題ではなく、そこから得られる普遍的な視点と、社会の偏見に立ちむかう勇気と希望に触れる機会を得ることができ、今も多くの人々に支持される「ハーヴェイ・ミルク」の魅力を理解する一助になればと願います。