報告*枯れ木さん

3月24日、埼玉地裁105法廷原発訴訟の原告陳述を傍聴してきました。

本日は快晴で気温は20度、さくらは一気に満開の様子。県庁、地裁の桜は見ごろ。
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傍聴券はコロナの為26席。抽選になるかと思いきや並んだ希望者は20人程度、無抽選で入廷。

裁判長、判事の入廷、全員起立するのですね。

本日は原告5人の意見陳述。
陳述に続き原告弁護団による主尋問、次に被告代理人による反対尋問という順に、原告の意見陳述が進みます。


・原告が強いられた共通点
原告(被災者)個々の報告は控えますが、抱えている問題、背景はすべて違いますが共通するものもあります。

事故直後、避難するかしないか、どこへ避難するかを判断しなければなりません。

事故がなければしなくてもよい選択を強いられます。理不尽な選択の始まりです。

皆さん取りあえず、緊急避難先へ逃げ込むわけですが、急遽の避難先はプライバシーが全くなく、物資が圧倒的に不足しています。子供、老人もいる中、毛布一枚ありません。
さらに食べ物も不足しています。おにぎり、パンばかり配られ、お腹は空くけれど体が受け付けなくなるそうです。そんな生活が1か月も続いた人いました。

緊急の避難先から、親族を頼る、友人を頼る、借り上げ住宅にたまたま当選する人など、したくもない次の選択です。

親族、友人を頼るも、いつまでも居続けるわけにもいきません。

今回の陳述の中には避難先を転々としながら借り上げ住宅へ移った人が多かったようです。

川越、比企郡嵐山、郡山、加須、八千代、野田など望んでいく訳でもなく無理やり選択を迫られ移動を余儀なくされます。

しかも、被災者の背景は様々で、一家で一緒に移動できずお父さんとお母さん、母親と子供達、父親と一家が3か所に分断されるという悲劇も聞きました。
更に、夫婦の間がぎくしゃくし離婚に至った方、お年寄り、子供は体調を崩し、老人は亡くなったということも聞きました。

福島からの避難者ということで、コミュニティ―では差別され、溶け込めず、子供は学校でいじめられ、本当に理不尽な思いの連続です。


時が経ち、借り上げ住宅が無慈悲にも打ち切られます。
ここでまた、したくもない選択を迫られます。福島には戻れず、苦渋の望まない選択の末住み着いた避難先で家を購入するという結末になった人が多くいます。

・被告(国と東電)代理人の対応

いずれにせよ、事故により全く人生を狂わされた人達の陳述でした。

それに対する被告代理人(国と東電)の反対尋問は聞くに堪えないものでした。

上から目線、本来事故を起こした責任を感じ、被災者に謝罪する気持ち、被災者に対する敬意のようなものは全く感じられず、詰問調で、表現も不適切な場面も多々あり、原告代理人からobjectionが数回飛びました。

代理人なので依頼者の意向を代理しているわけで、国、東電の心象を正直に表現しているのでしょう。

今回で38回ですから何年法廷が続いているのでしょう。

弁護士さんにいつ結審しますか?と聞くと、「年内」と話していました。

早く原告勝訴で終わって欲しいものです。

・吉田さん

この陳述中おどろくべき話がありました。

ある女性の陳述で「吉田さんにいろいろ教えていただき、お世話になりました」という話がありました。

その女性がたまたま枯れ木の前に座られたので、吉田さんについて聞くと、なんと吉田千亜さんのことでした。
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例えば、子供の通学エリアの線量計測を実施し的確にアドバイスをしていただくなど、いろいろ話を聞いてくださり、私たちの支えになっています。と。

吉田千亜さんが、被災者の方に誠実に接している姿が目に浮かぶようで、千亜さんのお話を聞いたばかりなので大変得をしたような気になり、千亜さんの好感度もまた上がりました。