40年前に刊行されたバナナを通して見た利益のためにまかり通る社会不正義。
岩波新書の古典と言われています。
スーパーや八百屋の店頭に並ぶバナナの九割を生産するミンダナオ島。
その大農園で何が起きているか。
かつて王座にあった台湾、南米産に代わる比国産登場の裏で何が進行したのか。
安くて甘いバナナも、ひと皮むけば、そこには多国籍企業の暗躍、農園労働者の貧苦、さらに明治以来の日本と東南アジアの歪んだ関係が鮮やかに浮かび上がる。 
よくぞここまで調査し、暴いたと思う。

資本主義の矛盾、搾取のからくり、当時のアグリビジネスの強欲、それらをあぶり出した。
こうした作業をされた方がいて、社会問題が庶民に認識されていくのだと思った。 

バナナは資本主義によるいびつな搾取を経て日本の食卓に届いている。
バナナを食べるからにはそれくらいは知っておきたいと思わせる内容でした。 
本書では、多国籍企業とフィリピン支配層が結託して先住民族や自作農の土地を奪い、水田や畑をバナナ畑に変えてきた歴史が明らかにされます。狡猾ともいえる収奪の過程と、貧困にあえぐ農園労働者、巨額の利潤を溜めこむ企業を、バナナという商品作物を例に克明に描いた好著。


PARCが最新の報告書を出しています。
知らないでバナナを食べていますが、裏では驚きの現実が…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆調査・研究│PARC NPO法人アジア太平洋資料センター

http://www.parc-jp.org/kenkyuu/2019/banana.html

『バナナと日本人』から40年

最新の報告書
「バナナが降らせるフィリピン『毒の雨』」
全文ダウンロードはコチラから


いまや日本で最も食べられている果物はミカンとリンゴを追い抜いてバナナとなりました。その8割はフィリピンから輸入されていますが、故・鶴見良行が書籍『バナナと日本人』(岩波新書/1982)で告発したことで知られるように、フィリピンでは植民地の爪痕と共にバナナ産業には人権侵害・環境破壊が隣り合わせでした。その問題は残念ながら現在も大きく変わっていません。フィリピンのバナナ生産現場で起きている問題を調査し、私たち日本人の責任も検証します。

研究会「『バナナと日本人』から40年」では、2017年度からフィリピン・ミンダナオ島のバナナ生産現場を訪問調査し、現地で起きているさまざまな問題を明らかにしてきました。

具体的には、

  • (1)過剰な農薬散布がもたらす「毒の雨」
  • (2)搾取的栽培契約がもたらす「債務の鎖」
  • (3)結社の自由をはじめとする労働者の権利侵害

の3点を明らかにすることを目的として活動しました。
調査の過程で、できるだけ関係者の声に直接耳を傾け、意見を収集することを目的としてフィリピン・ミンダナオ島で南コタバト州、コンポステラ・バレー州、ダバオ州のバナナ農園と周辺住民への聞き取り調査を実施しました。
さらにコンポステラ・バレー州のバナナ出荷作業場労働者を代表する労働組合NAMASUFAの支援を継続的に行ない、労働者749名の不当解雇撤回を求めた政策提言活動にも関わっています。


本活動の一部はオリジナルビデオ作品『甘いバナナの苦い現実』として日本全国の教育機関・市民教育の現場で普及啓発活動に貢献し、またPARC会員向け広報誌「PARC通信」やPARCがかかわる国際キャンペーン活動「Fair Finance Guide」における調査レポート「人喰いバナナの真実と それを隠すグローバル金融メカニズム」として公開されました。

ぜひ皆様にご覧いただければ幸いです。

なお、最新の報告書「バナナが降らせるフィリピン『毒の雨』」で報告している点には下記の点が含まれます。

  • 1)フィリピン・ミンダナオ島で「(バナナに対して使用される)農薬が原因で健康被害を受けた」とする住民や労働者の証言を取りまとめ、報告。家畜が死んだ」、「失明した」、「皮膚が激しい炎症を起こした」、「腎機能を失った」、「出生異常につながった」などの証言

  • 2)国内流通バナナの農薬スクリーニング調査を行なった結果、環境への配慮に力点を置いた認証ラベル「レインフォレストアライアンス」の認証を受けたバナナから使用が禁止されているネオニコチノイド系農薬成分(イミダクロプリド)を複数の検体から検出した。

  • 3)国内流通バナナの大手3社のバナナに残留する農薬成分のスクリーニング調査では、スミフル社バナナからは1検体当たり平均1.87成分、ドール社バナナからは平均1.12成分が検出された一方でユニフルーティ社バナナからは平均0.15成分しか検出されず、84.6%の検体からは農薬成分が検出されなかった。
    農薬成分が多く検出されることが、ずさんな現地オペレーションを証明するものにはならない。しかし、安定して残留量を低減させるにはある程度の管理環境が必要であり、3社の間には管理体制の有意差があることが結果から推察される。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※最新刊のお知らせ

名著『バナナと日本人』から約40年。バナナを通して世界と日本を見つめ直す。日本人がもっとも多く食べている果物バナナはなぜ安いのか?主な輸入先のフィリピン・ミンダナオ島では農薬の空中散布による健康被害や不公正な多国籍企業の活動が目立つ。栽培・流通の知られざる現状を詳細に調査し、エシカルな消費の在り方を問いかける。


index
甘いバナナの苦い現実
  

オンラインセミナーもあります。
 ↓
【連続オンラインセミナー】甘いバナナの苦い現実