赤松小三郎の本を書かれた関良基・拓殖大学教授の専門は 「森林科学」です。
近年は川の生態系に悪影響が多いダムに替わる治水策としての緑のダムなど流域治水の方策を研究したり、TPPや自由貿易協定が環境に与える影響なども研究されています。
2019-10-16_18h46_00
※画像はIWJのサイトより

◆八ッ場ダムは首都圏を救ってません
- 代替案のための弁証法的空間 Dialectical Space for Alternatives
https://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/6af9d8846b3df045a3725e6f3c3efc01

 ネットで八ッ場ダムが話題になっています。ちょうど試験淡水中だった八ッ場ダムが台風19号であっという間に満水になったというニュース。だから首都圏を救ったというのですが、印象で語っているだけで何の根拠もありません。
 水害が起こるたびに自民党のサポーターが、それを利用して、民主党叩きとダムやスーパー堤防擁護のデマ宣伝を行うのが恒例行事になっています。今回の騒ぎも、それです。

 八ッ場ダムの貯水で、どれだけ洪水ピーク時に江戸川や利根川下流の水位を下げるのに貢献したのかが問題です。正確な計算は今後に委ねる必要がありますが、おそらく1cm程度か、下手ををすれば数ミリのレベルです。彼らは印象でモノを語っているだけです。1cmほど江戸川の水位を下げたとしても、それで首都圏を救ったというような大げさな話になどなるわけがありません。

 利根川流域の一支流でしかない吾妻川の、そのまた上流にあるのが八ッ場ダム。ここで貯水したとしても、利根川全体で見れば微々たる効果でしかありません。

 水害を防げるか否かの鍵は、あくまで堤防の強度が十分にあり、決壊を防げるか否かです。江戸川で水害がなかったのは、あくまで堤防が耐えたからです。
 八ッ場ダムの建設コストは5300億円ですが、そのコストを堤防の強化に回せば(決壊を防ぎ、破堤しにくい堤防の強化工事)、1000kmくらいの区間の堤防を強化できるはずなのです。そちらの方が国土の安全に果たす効果は大きいのです。
 
 八ッ場ダムは他に気になることがあります。ほぼカラッポだったダムが、一回の台風で満水になってしまったのです。あそこはもともと地すべり地帯で、試験淡水によって地すべり発生の有無を慎重に検証せねばならなかったのに、一夜にして満水になってしまいました。急激に満水になってしまったことによって、地すべりの発生も懸念されます。

 それにしても、ほぼカラッポのダムが一回の台風で満水になったということは、ふつうに貯水している状態で今回の台風が襲えば、緊急放流に至った可能性が高いでしょう。

国交省がダム推進のために封印した決壊しない堤防について書かれています。

◆なぜ日本の堤防はかくも簡単に決壊するのか?
 耐越水堤防を仕分けた御用学者たち

- 代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives
https://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/1a879b1642a36d8a705db8d72bc4e469?fm=entry_awc 

 決壊した千曲川や那珂川などでは甚大な被害が生じていましたが、越水で済んだ河川は被害は決壊に比べれば不幸中の幸いというべきでしょう。治水の最重要課題は、越水はやむを得ないものとして受け入れ、決壊・破堤を防ぐことです。越水ですめば、被害は最小限で済みます。

 なぜ日本の堤防はかくも簡単に決壊するのでしょうか? なぜ泥饅頭のような脆弱な構造のまま放置されているのでしょうか? 土の塊であれば堤内に水が浸入すれば簡単に破堤します。堤防が、土の塊でよいと考えている行政に問題があるのです。

 当ブログでたびたび書いてきましたが、日本における喫緊の課題は、越流しても簡単に決壊することはない耐越水堤防を整備することです。それさえ整備されれば、安全度は格段に増します。今回の台風であっても、これほど多くの決壊被害は出ないのです。

 さて、水害が起こるたびに、「スーパー堤防を仕分けた蓮舫が悪い!」といったデマが自民党のサポーターたちから髣髴と沸きおこり、ネットを騒がせます。

 スーパー堤防は完成までに400年を要する事業です。蓮舫さんの事業仕分けから10年しか経過していません。また自民党政権になってスーパー堤防は復活しています。しかし完成には途方もない年月を要します。
 事業仕分けがあろうがなかろうが、現時点でスーパー堤防など完成しているはずがありません。それに、千曲川や那珂川、阿武隈川以下、決壊した多くの河川にはスーパー堤防の計画すらないのです。今回の24カ所の決壊には、スーパー堤防の事業仕分けなどとは全く無関係です。デマを流すのはいい加減にしてください。

 じつは国交省は、平成10年度の重点施策として越流しても破堤しない耐越水堤防の推進を掲げておりました。
 堤体全体を遮水してアスファルトなどで覆ってしまう「アーマーレビー工法」などがそれです。耐越水堤防は他にもいくつかの工法が開発されていますが、これらは同じ距離当たりのコストは、スーパー堤防の100分の1程度で済む、はるかに安価で現実的な堤防強化工事です。

 しかし、2008年に日本土木学会の学者たちは、耐越水堤防は不完全として中止するように国交省に勧告し、国交省は耐越水堤防の開発・整備をピタリと止めてしまうのです。

 この不可解な事件の背景はダム利権と深く結びついていることが疑われます。すなわち国交省は、耐越水堤防が整備されると、上流にダムを建設する口実がなくなることを恐れたと思われるのです。治水のためのダム建設に根拠を与え続けるためには、堤防は脆弱な方がよいのです(元国交省の河川官僚・宮本博司さん談)。

 ちなみに、元建設省の土木研究所で耐越水堤防の開発に携わっていた石崎勝義氏は、以前、私に対して「(耐越水堤防は)技術的に確立されているにも関わらず、それをさせないというのは犯罪だ」と述べておられました。
 確かに。これら無責任きわまりない御用学者たちのために、人命が失われているといって過言でないのです。
 ダムやスーパー堤防に湯水のごとく投入されている予算を、耐越水堤防の整備に転用すれば、破堤は格段に発生しにくくなり、国土の安全性は高まることは間違いありません。自民党のサポーターの皆さま、ダム神話、スーパー堤防神話を捨てて、現実的で効果的なインフラ整備の方策を考えましょう。