「ほたるの川のまもりびと」で描かれた石木ダム予定地の人々が県の決定によって故郷を奪われようとしています。長崎県収用委員会が反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地を明け渡すように地権者に求める裁決を出しました。
長崎新聞が論説とコラムで長崎県の強権的姿勢を厳しく批判しています。
長崎新聞の記事には明け渡し期限が建物がない土地が9月19日、建物がある土地が11月18日と書かれています。
期限が来れば、県が補償金を法務局に供託し、所有権が国に移転されることも予想されます。

 
◆石木ダム用地 収用裁決 「本当の闘いはこれから」反対地権者ら抗議続行

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(写真)県道付け替え道路の工事現場で座り込みを続ける地権者ら=川棚町

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者13世帯の宅地を含む土地の明け渡しを求める県収用委員会の裁決が明らかになって一夜明けた23日、反対地権者ら約30人は長崎県が進める付け替え道路工事現場での抗議の座り込みを続けた。

 反対地権者らは2017年夏から作業道に座り込むなどして抗議。裁決の報道を受け、同日は激励に訪れる支援者の姿も見られた。地権者の岩下秀男さん(71)は「裁決が出ても、こちらは何の変わりもない。行政代執行までやるつもりなのか。本当の闘いはこれから」と唇を結んだ。

 県収用委は21日、地権者の宅地を含む未買収地計約12万平方メートルの明け渡しを裁決。ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用することが可能になった。関係者によると、明け渡し期限は建物がない土地が9月19日、建物がある土地が11月18日。期限までに明け渡しに応じなければ、家屋の取り壊しや住民の排除などの行政代執行が可能になる。裁決書は5月末に地権者に発送される予定。


◆論説 強権的な姿勢は改めよ 石木ダム計画    
(長崎新聞2019年5月24日)

県と佐世保市が東彼川棚町で計画する石木ダムの建設予定地のうち、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地について、県収用委員会は地権者に土地を明け渡すように求める裁決を出した。これで建設に必要な全ての用地を強制収用することが可能になったが、地権者の反発は根強い。

 中村法道知事は2月の会見で、2022年度のダム完成目標を念頭に「地権者の協力が得られれば、本体工事にも着手しなければならない時期と述べていた。しかし、そうした環境は依然として整っていない。県は強権的に事業を進める姿勢を改め、ダム計画に理解を得る努力を尽くさなければならない。

 県は未買収地約12万6千平方㍍について、14~16年に土地収用法に基づき、明け渡し 裁決を県収用委に申請。そのうち農地約5500平方㍍は15年8月までに収用されたが、地権者は耕作を続けて事実上占有している。

 今回裁決された約12万平方㍍では、ダム本体や貯水池の建設が予定されている。13世帯が現住する宅地や公民館などの共有地を含むだけに、地権者の抵抗は必至だ。

 今秋の明け渡し期限後は、家屋などを取り壊して立ち退かせる行政代執行も可能になる。ただ、手続きを経たとしても、個人の、しかも13世帯もの財産を公権力が強制的に取り上げることの是非は厳しく問われなければならない。

 実力行使に訴えて住民を排除するような展開は誰も望んでいない。1982年5月の強制測量では、県警機動隊が出動する事態となった。住民との対立を決定的にした県政の「負の歴史」を繰り返してはならない。

 石本ダムは、75年の国の事業採択から40年以上が経過した。佐世保市への水道水供給と川棚川下流域の水害対策を目的としているが、人口減少による水需要の低下など事業環境は変化している。

 反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で、長崎地裁は昨年7月、ダムの 「公益性」を認める判決を出した。しかし、原告側は控訴し、福岡高裁で係争中だ。県と佐世保市に工事差し止めを求める訴訟も起こされている。

 先の統一地方選の川棚町議選では、反対地権者がトップ当選した。ダムの必要性や、事業の進め方に疑問を抱いている人が少なからずいることを浮き彫りにした形ではなかっただろうか。

 昨年2月の知事選を前に長崎新聞社が実施した有権者アンケートでは、石木ダムを「必要」と答えた人より「不要」とした人が多く、4割以上は「分からない」と回答していた。長年の県政の懸案であるこの事業が県民にどれだけ理解され、支持されているのか、県はいま一度見つめ直してほしい。      
(小出久)

 
◆コラム「水や空」  
(長崎新聞2019年5月24日)

脅すような態度を示すことを「すごむ」と言い、すごんで発する口上を「すご文句」と言う。脅すような意味はないのに、すご文句に思える言葉がある。「実力行使」がその例だろう。「実際の行動に出る」くらいの意味なのに、人を圧するような語感を含む

▲「実力行使」の4文字をかざすのと同じだろう。石本ダムの建設予定地のうち買収されていない土地について、明け渡すよう地権者に求める裁決を県収用委員会が出した。土地には反対地権者13世帯の宅地が含まれる

▲これで県は、ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用する、つまり取り上げることも可能になった。反対地権者は「脅しには屈しない」と反発を強めている

▲石木ダム事業で、県は37年前に強制測量という実力行使に出た。当時の新聞には、機動隊員140人が抵抗する住民を「ごぼう抜きして排除した」とある。これを境に反対運動は頑強になった

▲地権者が立ち退かず、それでもダムを造るとすれば、県は家屋を撤去し、住民を排除する という実力行使にまたも踏み切るしか手がない。そうなって「ぎりぎりの判断」をやむを得ない」といくら言っても、非難の声はやむまい

▲すご文句を発し、実力行使に突き進んだ後、行政の側に残るのは何だろう。「悔恨」の一語しか思い浮かばない。(徹)

 

◆長崎県、石木ダム用地明け渡し命じる 地権者「住民を置き去り」
(毎日新聞2019/5/23(木) 22:41配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190523-00000108-mai-pol


長崎県、石木ダム用地明け渡し命じる 地権者「住民を置き去り」石木ダムの建設予定地
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 長崎県と佐世保市が同県川棚町に建設を計画している石木ダムについて、県収用委員会が予定地内の約12万平方メートルを明け渡すよう計画に反対する地権者に命じる裁決を出したことが関係者への取材で判明した。
 裁決は21日付。今回の裁決で、ダム事業に必要な全ての土地を県が強制的に収用することが可能となり、地権者らが反発を強めている。
 予定地を巡っては約5500平方メートルが2015年8月までに県に収用され、県は13世帯約60人が暮らす住宅などがあるダム本体用地など残り約12万平方メートルについても収用の裁決を申請していた。明け渡し期限後も住民が立ち退かない場合、行政代執行が可能になる。
 現地では反対住民らが座り込みなどの抗議活動を続けており、地権者の炭谷猛さん(68)は「住民を置き去りにして、手続きだけを進めていくことに世論は納得しないだろう。ダムはいらないということを変わらず訴えていく」と話した。
 石木ダムは1962年、川棚町に隣接する佐世保市の水不足解消などを目的に県と佐世保市が計画した。【浅野翔太郎、綿貫洋】


川棚町では毎年この時期、ほたる祭りが毎年行われています。
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