第19回埼玉リレーカフェ「一緒に考えよう ふくしまのこと」
世話人の山下さんが集団訴訟についてまとめてくださった資料を公開します。

福島第1原発事故の避難者らによる集団訴訟

東京電力福島第1原発事故の避難者らが東電や国を相手取り慰謝料など損害賠償を求める集団訴訟が、18都道府県の20地裁・支部で31件ある。
原告総数は1万2539人で、請求総額は少なくとも1132億円。
99%(1万2360人)は事故当時、福島県にいた住民。
避難指示区域からの「強制避難者」は約3000人、区域外避難者(=「自主避難者」)は約9500人で、多くの訴訟で両者が混在している。
原子力損害賠償法は、過去の有無を問わず、電力会社が損害を賠償すると定めるが、27件の訴訟で東電に過失があること明確にするよう求めているのも特徴。
うち、25件は東電への国の指導・監督責任も追求する。
原告らは「東電や国の責任があいまいなままでは再び同様の事故が起きかねない」と主張する。

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2017年3月17日 前橋地裁
骨子
・国と東京電力は巨大津波を予見でき、原発事故を防げた
・国と東電は原告62人に3855万円を支払え
・国は東電に対する規制権限を行使せず違法
・東電は安全性よりも経済的合理性を優先させるなど、非難に値する事実がある

その他
・原告弁護団は「原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めて。
 国の賠償責任を認めたことは極めて大きな意味がある。」と評価。
・区域外避難者(=自主避難者)にも賠償を認める。
・裁判長は原道子氏。
 原道子裁判官は、福島に戻った原告に対して、福島に出張して尋問を行う。
・3月30日、国と東電は前橋地裁判決を不服として控訴。
・原告137人のうち、72人の請求を棄却し慰謝料も非常に低いという問題点もあるため3月31日に原告70人が控訴。

引用 17/3/8付  東京新聞Web抜粋
   17/3/30付 毎日新聞Web抜粋
   17/3/30付 デイリー新潮Web抜粋
   17/4/3付  しんぶん赤旗Web抜粋


2017年9月22日 千葉地裁
骨子
・国に賠償責任はない
 巨大津波を予見できたが、対策を取っても事故を回避できなかった可能性があった
・東電も巨大津波を予見できたが対策を放置したとまでいえず、重大な過失はなかった
・生活基盤を喪失した精神的苦痛はふるさと喪失と呼ぶかどうかはともかく、賠償の対象。
・東電は原告42人に3億7600万円を支払え

その他
・「ふるさと喪失」慰謝料を初認定。区域外避難者(=「自主避難者」)についても、
 避難に合理性が認められる場合、賠償の対象となる。
・裁判長は坂本勝氏。
・10月5日、原告と東電双方が千葉地裁判決を不服として控訴。

引用 17/9/22付 毎日新聞Web抜粋 
   17/9/23付 しんぶん赤旗Web抜粋
   17/10/5付 JIJI.COM抜粋

2017年10月10日 福島地裁
骨子
・原状回復請求(空間放射線量を事故前に戻す)は
 国と東電に求める作為の内容が特定されていないため不適法
・予見可能性については、国は長期評価に基づきシミュレーションを実施していれば、東電が試算した通り予見可能だった。
・結果回避可能性については、経産省が津波対策を東電に命じていれば事故は回避可能だった。
・国は賠償責任を負う。東電は予測可能な津波対策を怠った過失はあるが、
 故意や重過失は認められない。

その他
・東電には原告のうち約2900人に総額4億9795万円を支払うように命じ、
 国にはこのうち2億5023万円を連帯して支払うように命じた。
・裁判長は金沢秀樹氏。
 金沢秀樹裁判官は、16年3月に双葉町や浪江町などにある原告宅などを検証。
 同6月には福島市の仮設住宅や保育園、果樹園を訪れ、避難者の暮らしぶりを確認。
・10月23日、国と東電、原告双方が福島地裁判決を不服として控訴。

引用 17/10/10付 毎日新聞Web抜粋
   17/10/10付 日本経済新聞Web抜粋
   17/10/23付 YOMIURI ONLINE 抜粋


2018年2月7日 東京地裁
骨子
・原告(南相馬市小高区)318人について一人当たり、330万円の賠償を認定。
・原告側の避難生活の慰謝料」の賠償期間を避難指示解除から3年後の「19年7月まで」との主張は採用せず。

その他
・同種訴訟の中では高額な賠償を認めるが、原告請求額の約10分の1。
・「ふるさとを喪失した」との原告の主張に一定の理解を示して賠償対象に。
・原告側が裁判官に現地視察を求めたが実現しなかった。
・これまで判決が出た訴訟は東電や国の過失責任も問うたが、この訴訟は東電の賠償額のみを争う。
・裁判長は水野有子。
・原告側が控訴を検討。

引用 18/2/8付 毎日新聞 抜粋
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ふるさと喪失慰謝料
原発事故に伴う長期の避難生活で、故郷の人間関係や豊かな自然などを永遠に失ったとして避難者らが求める賠償金。東京電力は2013年12月に国が示した方針に基づき、原発がある福島県大熊町や双葉町な帰還困難区域からの避難者に「故郷喪失に対する慰謝料」として1人700万円支払うとした。(東京地裁の原告は対象外)千葉地裁が17年に独立した慰謝料として初認定した。

今後の判決日程
・3月15日 京都地方裁判所
・3月16日 東京地方裁判所
 午後1時30分から東京地裁正門前で門前集会・入廷行動
 午後3時 東京地方裁判所103号法定にて判決言い渡し
 午後4時ころから全日通霞ヶ関ビル会議室(千代田区霞ヶ関3-3-3)にて報告集会
・3月22日 福島地方裁判所いわき支部