厚木市や福島の自主夜間中学へ、前川さんは手弁当で支援をしています。
それは「義務教育段階の普通教育は、人間が人間として人間社会で自立して生きていくために不可欠のもの」であると考えているからです。
とてもフェアな方で、弱き者への温かいまなざしを感じます。

◆前文科事務次官・前川喜平さんが“夜間中学”で教える理由 
AERA dot. (アエラドット)
https://dot.asahi.com/aera/2017102500086.html 
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 1979年、文部省(当時)に入省した前川さんは、当初から夜間中学の存在を意識していた。入省すると官房総務課に配属され「陳情の対応」に当たったが、夜間中学の増設を訴える関係者に対して、上は冷たかった。

「これはおかしいと思ったわけです。こぼれ落ちた人たちを制度がすくっていないじゃないかと。憲法で保障されているはずの教育を受ける権利が保障されないままになっている人たちがいる、と」

 行政管理庁の勧告後、減少傾向をたどった夜間中学は今、転換期を迎えている。きっかけは14年4月。長年の運動の努力が実り、超党派の「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」(会長・馳浩自民党衆院議員)が発足、法整備への動きが加速した。文科省も夜間中学を「貧困のセーフティーネット」と位置づけ、動き出す。15年7月、文科省は「形式卒業者」への門戸を広げる通知を出した。卒業証書をもらっていても夜間中学に再入学できるよう方針転換したのだ。

 そして16年12月には、「教育機会確保法」が議員立法で成立した。初めて夜間中学を法的に位置づけ、不登校などで学齢期に学校に通えなかった人の就学機会を夜間中学などで確保するよう各自治体に求めたのだ。文科省も今年4月、「全都道府県に少なくとも一つ」の設置を目指す方針を示した。

 文科省に在職中、これらの制度改革を進めてきた前川さんは強調する。

「法律ができたインパクトは大きい。国、および地方公共団体の責任は重大。いままでおろそかにしてきたけれど、法律ができた以上は許されません」

 夜間中学は義務教育の「最後の砦」だ。十分な教育が受けられなければ、進学や就職で不利を被り、将来の道が閉ざされ貧困に直面していく。
「義務教育を受ける権利が15歳で切れるということはありません。特に義務教育段階の普通教育は、人間が人間として人間社会で自立して生きていくために不可欠のもの。その普通教育が不十分なのであれば、その機会を与えなければいけない。人権に年齢制限はありません。16歳以上は人権がないなんてことはない。教育を受ける権利には年齢制限はない。私はこれを、声を大にして言いたい」
 前川さんの言葉である。