報告:ケンちゃん

弁護士の連帯を強める埼玉の会主催
連帯講演会
「琉球独立論」(今、沖縄で何が起こっているかー辺野古で・高江で)
に参加しました。
38
講師・松島康勝さん(龍谷大学教授)
(琉球民俗独立総合研究学会ー2013年発足、現在約350名の会員)

【なぜ今、琉球の独立なのか?】
単独州になれば基地を撤去できるだろうか。
日本の分権化が進んでも、安全保障、金融、経済政策等は中央政府が掌握することが前提とされており、日本の安全を理由にして琉球州に基地が押し付けられるだろう。
基地縮小・撤去を希望した「復帰」も日本政府に裏切られ、振興開発も基地強制の手段として利用された。
日本政府に期待することを止めないと、いつまでも琉球が植民地として扱われるだけ。
10万人の反対集会、全県・市町村議会の反対決議、知事や市長の抗議にもかかわらず、日本政府は有無を言わさずオスプレイを配備した。
「復帰」後44年で明確になったことは、アメリカに従属する日本の統治下に琉球が有る限り、基地はなくならず、新たな基地や危険な軍用機が押し付けられ、琉球人は平和な生活や発展を享受できないということである。

【琉球独立の歴史的理由】
1609年、島津藩の武力侵略を受けた琉球国は、同藩の間接統治下におかれた。
1879年に日本政府は武力を用いて琉球国を滅亡させ、国王を東京に拉致し、「沖縄県」を設置した。
琉球人の領土が略奪され、琉球併合に対して日本政府は現在まで謝罪も賠償も行っていない。
なお日本政府は琉球国が独立国として存在したことを現在も認めていない。

【琉球は日本固有の領土か?】
琉球は琉球国という日本とは別の国家であったのであり、「日本固有の領土」ではない。
1850年代にアメリカ、フランス、オランダは琉球国と修好条約を締結し、国として認めた。
琉球併合は国際法違反である。
「復帰」とは「元の状態に戻ること」を意味するが、琉球の元の状態は日本ではなく、琉球国である。

【琉球独立の経済的理由】
琉球にのみ適用される法制度や組織が存在している。
そして、それは沖縄県の上部にある。
振興計画の策定には日本政府の最終的な承認が必要であり、事業の優先順位付けも日本政府が行ってきた。
日本と琉球との「格差是正、経済自立」を目標とする振興開発。
しかし、「復帰」後44年の現在もその目標は達成されていない。
現在、県内総生産のうち軍関係受取(基地経済)は約5%。基地経済が消滅しても琉球経済には問題ない。
軍雇用者数は約9000人いるが、全体の就業者数約64万人(2013年)の一部。
基地は島の平地を占拠しており、平地は経済活動をするうえで不可欠な要素である。
那覇新都心、読谷村など基地に比べ数十倍以上の雇用効果、税収効果、経済効果が生まれている。
琉球の主要産業である観光業は、島が「平和」でないと成り立たない。
アジア諸国との経済連携を推進するためにも、米軍基地は不要であり、経済的にも非合理的な存在。

【琉球独立の方法】
1960年に国連で採択された「植民地独立付与宣言」以降、独立国が格段に増えた。
自らの憲法によって生命、基本的人権、慣習や言葉、土地制度等を守るために人口が数万人でも独立した国々があり、世界はそれを認めた。
ツバル、ナウルは人口約1万人、パラオは約2万人。
琉球の人口は約140万人であり、独立しても当然な地域である。
パラオが1981年に自治政府(アメリカからの独立は1994年)を樹立した際、住民運動のリーダーであった安里清信が同地に行き、記念式典に参加。
安里は人口1万5千人のパラオを見て琉球独立を唱えた。

【国連から日本政府に出された5つの勧告】

2001年9月24日、国連社会権規約委員会「部落の人々、沖縄の人々、先住性のあるアイヌの人々を含む日本社会におけるすべての少数者集団に対する、法律上および事実上の差別、特に雇用、住宅および教育の分野における差別をなくすために、引き続き必要な措置をとること」

2008年10月30日、国連自由権規約委員会「国内法によりアイヌの人々および琉球・沖縄の人々を先住民族として明確に認め、彼らの文化遺産および伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべきだ。
通常の教育過程にアイヌの人々および琉球・沖縄の人々の文化や歴史を含めるべきだ」

2010年4月6日、国連人種差別撤廃委員会「委員会は、沖縄における軍事基地の不均衡な集中は、住民の経済的、社会的および文化的権利の享受に否定的な影響があるという現代的形式の差別にに関する特別報告者の分析をあらためて表明する」

2014年8月20日、国連自由権規約委員会「締約国(日本)は法制を改正し、アイヌ、琉球および沖縄のコミュニティーの伝統的な土地および天然資源に対する権利を十分保障するためのさらなる措置をとるべきである」

2014年9月26日、国連人権差別撤廃委員会「締約国(日本)が、琉球の権利の促進および保護に関連する問題について、琉球の代表との協議を強化することを勧告する」

【オスプレイ墜落】
墜落を日米ともに「不時着」と誤魔化している。
安慶田副知事が米トップのニコルソンに抗議に行くと『感謝しなさい』と言われた。
植民地主義以外のなにものでもない。
「植民地主義」の次にあるものは「脱植民地主義」である。
さらに進むと「独立運動」になる。
独立運動は過去のもの、と思われているが、沖縄では現実のものである。
副知事自ら『植民地主義』という言葉を使ったのは重い。

【辺野古、高江の闘い】
民間の警備会社が軍事関係の仕事も受注している。
将来、自衛隊とともに戦争に海外に出掛けていくこともありうる。

【与那国島をはじめ八重山諸島】
自衛隊の基地が急ピッチで建設されている。政府は「琉球は戦争をしてもいい」と思っている。自衛官募集のチラシに「島出身の若い自衛官の写真」を載せている。

【沖縄県の取り組み】
沖縄言葉を積極的に取り入れている。
「島くとぅば講座」が開かれ、公務員の二次試験の面接は「島くとぅば」でやったりしている。
文化に対する誇りアイデンティティである。

【質疑応答】
Q 『沖縄の政党の中で独立を主張している人は?また、基地反対者の中での独立は?』
A『独立を中心に据えた新党を創ろう』という動きはある。
現在、社民党の照屋寛徳さんは独立を主張している。
社会大衆党の糸数さんは個人的に「自己決定権」を主張している。
『沖縄は日本に復帰すべきではなかった』と言う人は結構いる。
『沖縄県民が求めていたのは平和憲法を持っている日本。そして今、憲法が改悪されようとしている…』

Q 『沖縄が独立した後、中国が併合する、などといったことはない?』
A 『歴史的にみても、琉球国は中国の属国になったことはない。
独立といっても武力で勝ち取るわけではなく、国連法に従って「非武装中立の島」として独立する。
東アジアにあることが、アジアの平和につながる。
グァム、スコットランド、スペイン・カタルーニャなどと協力しながら進めていく。

Q 『独立学会の人は知識層が多いと思うが、一般大衆をどうやって引っ張っていくか?』
A『知識層が大衆を導くという運動論ではない。
また、沖縄本島中心というわけでもなく、八重山諸島それぞれが対等として考えている。
将来、県民投票となった場合でも、例えば「宮古島は単独で独立する」ということもOK 。
昔は、「居酒屋独立論」と言われたこともあったが、真剣に考える人が多くなった。
道州性を主張していた人が独立を言うようになった。
まだ数は数パーセントから10パーセント位だが、状況によって大きく変わるものだ!と、思っている。

※ところで、貴方は「沖縄独立」をどう思いますか?