報告:ケンちゃん

講演会「いま表現の自由を問う」に、ムツゴローさんと参加しました。
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 講師:永田浩三さん
  武蔵大学教授、元NHK ディレクター「クローズアップ現代」「NHK スペシャル」等制作

★最近のニュースがおかしい
相模原の事件で名前等一切出さない。名前は出さなくても、その人の生い立ちなど流すのが報道である。あたかもこの世におられなかったかのようである。米軍機が墜落した事件も、沖縄では大変なことになっているのに、本土では本当に小さな記事しか出ていない。

★「NHK ニュースが死んだ日」
昨年の8月14日、「戦後70年安倍談話」の報道の仕方で、「NHK ニュースが死んだ日」と呼んでいる。
まず、夕方6時のニュースで、安倍の記者会見の様子を流す。
7時のニュース7で、解説委員の岩田明子が細かく説明する。
そして、9時のニュースウォッチ9に安倍が生出演し42分間しゃべった。
ニュースの3階建てだった。

★キャスターがいなくなる
古舘伊知郎、国谷裕子、岸井成格
「フェア(公正)な放送人とはどんな人?」―どんな権威に対しても、物怖じしない。
市民が知りたいことを伝える(テッド・コペル)。

★放送法
〈第3条〉放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、
    何人からも干渉され、又は規律されることがない。
〈第4条〉放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という)の
    放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 1、公安及び善良な風俗を害しないこと
 2、政治的に公平であること
 3、報道は事実をまげないですること

〈第4条〉は、もともとNHK の内規だったものであり、
第3条と第4条が矛盾していることは、できたときからわかっていた。
高市が「第4条に違反している」と言ったが、「公平」とは、
「声をあげられない人のためにバランスをとることであり、
弱い側に立つことで、はじめてバランスがとれる。

★公共放送が病んでいる
1、制度としての弱点。
  NHK の最高意思決定機関は経営委員会。
 経営委員は、内閣によって人選され国会で承認される。
 経営委員が会長を選ぶ。これで良いのか?
2、記者グラブ
  記者グラブがあるために、特ダネを狙うのではなく、みんな横並びの記事になってしまう。
3、放送法第4条のしばり。
4、歴史的認識の違い。

★琉球新報
熱いハートで新聞作りをしている。
住民が怒っているから記事にしている。住民をあおっているわけではない。

★50-60年代のアメリカ
アメリカでもものが言えない時代があった。
マッカーシズムが吹き荒れ、ジャーナリスト、映画人、脚本家、大学人などが追放された。
「See It Now 」という番組で、エド・マローというキャスターがマッカーシーと対決した。

★戦時中
新聞からラジオに媒体が移り、臨時ニュースが次々に放送され、嘘にまみれたニュースが広められた。ラジオが戦争に協力したのである。

★キーワードは「忖度(そんたく)」
いまのテレビ局は何に怯えている?
「視聴者からの苦情」である。
「苦情があるかもしれない」ということに怯えている。
自民党はオソマツなのだから、それを突っぱねることがテレビの役割である。

※戦争の被害者は「真実」である。イラク、アフガン以来、みんな嘘にまみれている。これが世界の真実である。

先日、NHK で「解説委員の討論会」があり、みんな『もんじゅは廃炉に』と主張していた。
 『もんじゅは廃炉になる、と分かっていたから』。
 権力から用意されたもの(しつらえられたニュース)の範囲内で語られている。
 〈『出席していた解説委員がすべてそうか?』という質問に、
  『すべてがそうだというわけではない。
  自分の言葉で語っている人もいる』との永田さんの答えに、少し希望が持てたかな?〉

※リオ・オリンピックでのアベ・マリオは、全紙一斉に肯定的に報道していた。
 マツコが少し疑問を呈していたが『安全が保障された毒舌はセーフなのである』

※現場をこと細かく歩いて、「真実はこのへんにありそうだ」ということを伝えるのがニュースである。
 データだけもらって報道するのは、もはやニュースとは言えない。

※今年4月、国連の人権理事会の特別報告者デビッド・ケイ氏が
 「日本の言論の自由」についての調査を行い、間もなく報告書が出る。
 (期待しましょう!)